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☆臨床医
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「ひきこもり問題」調査の概要

(これは、2002年3月、および2000年8月の調査をもとにまとめたものです)

T) 対象者について
本調査で用いた「ひきこもり」の定義は、
「とくに精神的な障害がきっかけではなく、自宅や自室に6ヶ月以上の長期間ひきこもって社会参加できないでいる中学卒業段階以降の青年の状態」注)現役の小・中学生の「不登校」は含まない」というものである。

@「ひきこもり」若者の平均年齢は26.6歳。20代後半〜30代が6割を占める

 ◇ひきこもり者の中で20代後半〜30代の若者は約6割を占めており、数年後に20代後半に突入する20代前半も含めると、全体の9割以上になる。また、30歳以上は最高年齢の47歳を頂点にして3割近くにもなる。このように、ひきこもり者の多くが大人組であり、中学〜成人までにひきこもりが始まったとする割合が約83%にも達しているという、以前の調査(2000年度KHJの116家族を対象とした調査)をふまえると、ひきこもりが長期化し、現在の年齢に達している、という可能性が示唆される。

A50代以上の親が82%

 ◇本人以外(主に親)の年齢では、このように50代が58%、60代は21%、50代以上が全体の82%以上も占めており、今後さらに予想される親の高齢化が気になる。回答者のうち「ひきこもり」もしくは元「ひきこもり」当人はサンプル数が25と少ないが、20代・30代が88%を占めている。(合計n=585,本人n=25,本人以外n=554)

 ◆図1・2に示した結果を見ると、「ひきこもり」の当事者は大人組が大半であり、それを支える親たちの高齢化もまた、非常に大きな問題となっていることがうかがえる。場合によっては10数年にも及ぶひきこもり期間、高齢化した親達だけでは大人になった子どもを支えきれない。時間が経過するにしたがって、家庭の危機的な状況は深刻さを極めるものと推測される。また、今後は、現在のひきこもり者の数に若年層や成人期を過ぎてから問題化する群が加わり、ひきこもり者全体の数がさらに増加し、社会全体にとっても状況が深刻になっていく可能性は否定できない。

 

U)相談・治療の様子

B好評な民間に対して、今一つ足りない「公」と「専門」機関

C相談に行った機関 (平成12.8調査)

 ◇「役に立った機関・団体」では、トップが「家族が中心に組織する会」で6割近くに上っている(図B参照)。「家族の会」に限らず「フリースクール・フリースペース以外の民間」(15.8%)も第3位。民間の機関や団体が役立っていることになり、これは大きな特徴といえよう。また、平成12年度の調査(図C参照)によれば、多くの人々は病院に次ぎ保健所や精神保健福祉センターを訪れているにもかかわらず、精神保健福祉センター」(13.8%)、「保健所・保健センター」(11.4%)と多くはない数値であった。これらは公的な相談機関であり、誰にでも開かれている筈の“窓口”という役割から考えると、その利用率は低い。平成12年度の調査でこれらの公的機関を訪れた人々が、民間の機関を評価していると考えられる。また、平成14年度の調査でも訪れた人が多かった病院は、2位で32.8%と今回も多かった。

 ◆これらの調査は親の会をフィールドとしているため、親の会等民間の機関を評価する傾向が強い可能性も否めないが、公の機関では満足が得られないために、親の会などの民間を頼らざると得ない、とも解釈できよう。これらの公的機関・施設の中では、「ひきこもり」の状態像がまだ充分に把握できておらず親の会から学ぼうとしている段階のところが少なからずあることも事実である。今後、これらの公的機関の充実が切に望まれる。また、親の会や当事者グループ等は当事者や家族・有志が中心になって苦労しながら組織・運営しているものが多い。これらがこれだけ「役立った」と思われている点をしっかりと認識し、行政や自治体は強力にバックアップしていく必要があるのではないだろうか。

 

◆◆◆ 解決への5つの重点課題 ◆◆◆

<<1>> 医療・保健・相談所の充実 ----- 家族への解決に至る具体的なアドバイス・情報の提供
@相談窓口の整備 ---保健所・保健センターや精神保健福祉センター、病院・診療所を中心として---
A「ひきこもり」についての理解を深め、専門家の力量アップをはかる
B相談機関・団体同士のネットワークの構築
⇒ 全国引きこもりKHJ親の会をはじめ、2002年度、神奈川県において「ヒッキーネット」(家族・本人の会のネットワーク)始まる。

<<2>> 経済的支援について ----- 直接・間接に行政・自治体レベルでの補助制度の確立
@民間の相談機関・団体や「家族の会」、本人たちによる自助グループなどに対する支援
A家族への直接的な諸支援(医療・生活・福祉制度等における負担軽減などの措置)

<<3>> 就労・進路補償について ----- 行政・企業などを中心とする支援
@国や地方自治体における専用の相談窓口の開設
A企業・雇用側による就労支援制度の確立(例えば「ひきこもり」若者に対する“職親”制度や雇用促進政策の実現
⇒ 坂口厚生労働相は、ひきこもりの就労を支援するために、試行的に雇用する中小企業事業主らを対象に、賃金の一部を助成する「職親」制度を2003年度にも創設する考えを示している。
BAを行う企業への国からの支援
C就労のための共同作業所づくりや技術・資格取得支援等
⇒ 2002年7月、埼玉県は「訪問対話士」育成のための教本作成に、補助金決定(2002)。2002年4月、岡山県、ひきこもり経験者を相談員(サポーター)として育成・活用する「引きこもり脱出支援事業」開始。本年度予算案に約140万円の関連経費を計上。

<<4>> メディアによる支援 ----- 幅広い情報の提供
@「ひきこもり」問題への社会的理解を促すための記事の掲載
⇒ 2001年度のタイム誌、2002年5月のワシントン・ポスト紙に続き、2002年7月〜8月英国BBC放送、全米新聞グループのナイトリッダーの「ひきこもり特集」の取材が入る。国内だけではなく、国外のメディアにも様々な形で取り上げられつつある。
A解決に向けた先駆的な取り組み事例や解決体験事例等の紹介
⇒ KHJでは、機関紙「旅立ち」で様々な取り組みや体験談を紹介する他、講演会や家族(本人)の会などで当事者の体験を生で聞く機会も設けている。
B相談窓口や医療機関の紹介。学習会、講演会、家族(本人)の会などの情報提供
⇒ 2002年秋、NHKのホームページにて、ひきこもり関連の相談機関の紹介等の特集ページが組まれる予定。また、当ページでも相談窓口や医療機関の紹介、学習会、講演会、家族・本人の会(地方も含め)等の情報提供を行っている。
CTVメディアと活字メディアの協力連携
Dインターネットの利用

<<5>> 学校教育の役割 ----- 社会へ送り出す立場として
@不登校と「ひきこもり」を安易に混同しないこと
A不登校に対する教師の理解と支援を必ず本人と家族の声を受け止めつつ進める
Bとりわけ高校段階における不登校・中退問題に対する教師の理解と力量アップ、アドバイス体制の整備
C学校教育における競争主義、集団主義、効率主義、達成主義の呪縛からの脱却

 ※当ページは、2000年 KHJ親の会の116家族を対象とした調査,尾木直樹 2002年 「ひきこもり」問題と社会はどう向き合うべきか〜600家族の声にみる解決と支援への提言〜 レインボーリポートvol.6 臨床教育研究所「虹」、KHJ親の会(「ひきこもり」問題解決への支援を考える〜600家族の調査から〜 <プログラムとサマリー>) の2つの調査をもとに制作しています。

 
 

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