KHJロゴ

特定非営利活動法人
KHJ全国ひきこもり家族会連合会

メニュー

地域共生交付金大幅削減の報道を受けての声明


2026 年 2 月 20 日

「地域共生交付金の大幅削減」報道に関する声明

特定非営利活動法人 KHJ 全国ひきこもり家族会連合会
理事長 佐々木 善仁 ・ 日花 睦子

2026 年 1 月 24 日付の共同通信社の報道によると、2026 年度から厚生労働省が「重層的支援体制整備事 業」(以下「本事業」)に係る地域共生交付金を大幅に削減する方針であることが示されています。
本事業は、ひきこもりや生活困窮、介護、子育てなど、複合的な課題を抱える人や世帯を、分野を超えて「丸ごと」受け止め、地域の中で支えていくことを目的として創設されたものです。
私たち KHJ 全国ひきこもり家族会連合会(以下「KHJ」)は、ひきこもり・不登校をはじめ、社会的に孤立し 孤独を感じている本人や家族の人権が守られ、尊厳をもって自分らしく生きることができる社会の実現を 目的として活動しています。KHJ の活動実践の中においても、重層的支援体制整備事業は制度につながる以前の段階で声を上げにくい本人や家族の思いを受け止め、地域とのつながりを回復していく上で、有効かつ有用な仕組みであると受け止めています。

全国のひきこもり家族会には「どの支援制度にも当てはまらない」「相談先を転々とする中で、かえって 孤立が深まった」といった切実な声が多く寄せられています。縦割り行政や福祉施策の狭間に置かれやすい人々にとって、多職種・多機関が分野を超えて関わる重層的支援の仕組みが、最後の拠り所となる場合も少なくありません。
実際に、この制度に依拠して、ようやくひきこもり家族会との協働で具体的な事業が展開されている地域の支援実践が萌芽してきたところです。

今回の本事業における交付金の見直し方針は、時間をかけて体制整備を進めてきた自治体や関係者、そして何より支援を必要とする人や世帯に、不安や混乱が生じるのではないかと受け止められる状況があります。
また、十分な説明や対話がなされないまま方針の見直しが進められていることについては、国・自治体・地域の間でこれまで築かれてきた信頼関係や事業の継続性に対して、ひきこもり家族会として不安を感じています。

ひきこもり等を含む、生きづらさを抱える状況は、短期的な成果や数値のみで把握できるものではありません。地域の中で理解を育て、人と人との関係を丁寧につないでいく取り組みがあってこそ本人や家族は 社会的な孤立から一歩踏み出すことができます。本事業は、そうした取り組みを支える基盤の一つであり、予算額の変更等により事業の廃止や縮小が行われた場合、支援の基盤の維持が難しくなる可能性があると考えます。

私たち KHJ は、厚生労働省に対し、

一、重層的支援体制整備事業の意義と課題について、自治体、現場、本人、家族それぞれの声に耳を傾けながら、丁寧な対話の機会を持っていただきたいと考えます。

一、一律的な交付金削減ではなく、各地域における取り組みの実態や地域特性を踏まえた柔軟な対応が行われることを期待します。

一、ひきこもりを含む複合的な課題を抱える人々が、再び制度の狭間に置き去りにされることのないよう支援体制の維持・充実が図られることを願います。

私たち KHJ は今後も、本人および家族の声を丁寧に把握し、その実情や課題を社会と共有しながら、地域 全体で生きづらさを抱える人を支える体制づくりに向けて、継続的な発信と対話を重ね、中央および地域の行政との実質的な協働が図られるよう取り組んでいきたいと考えています。