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特定非営利活動法人
KHJ全国ひきこもり家族会連合会

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活動理念


KHJについて

KHJの略称は、平成26年度から、Kazoku Hikikomori Japan(家族・ひきこもり・Japan)に改訂されました。
「日本で唯一の全国組織の家族会(当事者団体)」という意味です。
KHJでは、ひきこもりを抱えた家族・本人が社会的に孤立しないよう、全国の家族会と連携し、行政に働きかけながら、誰もが希望を持てる社会の実現を目指しています。

役員

理事長

藤岡 清人 KHJ広島もみじの会 代表
山本 洋見 NPO法人 てくてく 代表

副理事長

池上 正樹 ジャーナリスト

理事

中垣内 正和 精神科医、長岡フェニックスの会顧問、ながおか心のクリニック院長
境 泉洋 宮崎大学教育学部 准教授、臨床心理士
坂本 勲 KHJ高知県親の会「やいろ鳥」の会 会長
田中 義和 KHJ東海 NPO法人 なでしこの会 理事長
日花 睦子 NPO法人 大阪虹の会 理事
高和 正純 KHJはぁとぴあ家族会、NPO法人はぁとぴあ21 理事長
田中 敦 KHJ北海道「はまなす」事務局長、レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク

監事

近藤 正隆 NPO法人 ウヤギー沖縄 代表理事

顧問

伊藤 正俊 NPO法人から・ころセンター代表

共同代表・副代表からご挨拶

藤岡清人(共同代表・KHJ広島もみじの会代表)

当会の発足のきっかけは、一つの自治体に、ひきこもり状態の人を抱える家族が悩みや困りごとなどを訴えても、依って立つ法律がないと動けないというものでした。
それから20年以上が経つがいまだに、支援施策の名のもとに各種施策が提示されているものの、ひきこもり支援に特化した根拠法はありません。このため、自治体によっては提示された施策を実施していないところも生じており、熱心に動いてくれる自治体では手厚い支援が受けられるものの、体制のできていない自治体ではたらい回しや先送りなどで相談が放置され、公的支援につながれる家族とつながれない家族の地域間格差が生じる不公平な状況にあるといえます。
「こども・若者の意識と生活に関する調査」の名のもとにひきこもりの実態調査が全世代にわたってなされていますが、2023年4月にこの調査の担当が内閣府から子ども家庭庁に移管されました。つまりこの調査自体が、こども・若者育成支援推進法のもとになされるものであるからでしょう。本来は全世代の調査を義務付け、子ども・若者だけに偏るのではなく、置き去りにされてきた中高年に対する支援施策を検討するための法律的裏付けが必要であります。
これは全世代の課題であり、全世代の誰もが等しく支援を受けられる社会をつくっていかなければいけません。当家族会も、活動開始から年数が経過しており、コツコツと納税してきた親世代に公的支援が届かず、何の支援も受けられないまますでに鬼籍に入られたご家族もおられ、時間はありません。
この本来の目的のために活動することが今こそ必要です。

 

山本洋見(共同代表・NPO法人 浜松てくてく代表)

KHJに初めて参加したのは2013年です。当時地域には相談するところもなく、あっても本人を連れてきなさい、と言われていました。本人は出られないので相談につながれません。学校でのいじめにより心身ともに苦しんでいる子を傍らに、茫然自失、立ち止まったまま動くこともできませんでした。KHJには全国に同じような悩みを抱えた仲間がいました。一人ではないんだ、と、ピアの力に励まされ続けました。それまで、母親として苦しむ子供を助けることができない自分を責めてきました。ひきこもる本人も自分のことを恥じていました。しかし、これは自己責任ではない、社会全体の問題だ、と気づくようになりました。

日本は敗戦国でした。第2次世界大戦で敗北しアメリカに占領されたのです。
国を挙げて立ち直るため、経済優先、元気に働き、お父さんたちは企業戦士と言われました。私の夫もそうでした。家には着替えを取りに帰ってくるような月日が流れました。経済は繫栄しました。そして家族は取り残されました。
学校も国に役立つ人間を教育している感があります。弱いもの、勉学が劣ったもの、他の子供と違う特性を持った子供は、十分なケアを受けることができないまま見過ごされてきました。ひきこもった人は教育を受ける権利を失っています。
今内閣府の調査で推計146万人のひきこもる人が判明、内過半数が女性だということも明らかにされています。

日本の伝統的な家父長制の下、国にも家族にも余り期待されていなかった女性が、サイレント マジョリティーから立ち上がり、SОSを発信できるようになってきたと、感じます。その流れを止めないで、声を上げ続けたいと思います。
一人一人が尊厳を持ち、幸せに暮らしていける包摂的な社会にするためには法の後ろ盾が必要です。親亡き後も生きていくために法律の応援を必要としています。そのための活動をKHJの課題として取り上げたいと思います。

 

池上正樹(副代表・ジャーナリスト)

 25年以上にわたって、ひきこもり関係の取材を続けてきました。この間、話を聴いて来たひきこもる本人の数は、数千人に上ります。ただ、ひきこもりという状態は、様々な事情からどこにも声を発信できずにいるところが本質的な特徴であり、深刻な人ほど「ひきこもり」とラベリングされるのを嫌がり、生きようとする意欲が枯渇しているのが実態です。実際、現場で面会できる人はごく一部であり、大半がメールやチャットなどのやりとりを通して現在に至るまでの痛みや苦しみ、怒り、悲しみなどの言葉にならない方々の思いを聴いてきました。
また、私自身も、長年働くことができずにいた弟を親亡き後に孤立死で亡くした兄弟姉妹の立場であり、数々の修羅場を経験してきた8050家族の当事者です。そして、子どもの頃は、学校に行くと誰とも話すことができずに心を閉ざし続けた場面緘黙症の当事者でもありました。それだけに、今も毎日のように私の元に寄せられてくる方々からの思いはそれぞれ痛いほど心に刺さります。
そんな自らの背景もあったことから、当家族会とは先代理事長の取材をきっかけに知り合い、2000年の全国家族会発足当初から活動をサポートしてきました。以来、親や兄弟姉妹からの相談にも、自分の生活に支障のない範囲ながら無償で応じています。
NHKで放送された『こもりびと』や『ひきこもり先生』などのドラマ監修も務めてきましたが、このドラマ『こもりびと』のモチーフになったETV特集のドキュメンタリー『空蝉の家』の家族環境は、私が生まれ育った家庭の状況にも似ていました。増える8050問題の背景にあるのは、みんな頑張っている意識はあるのに、ひきこもりを強いられていく、そんな日本の社会的状況が起因しているということを改めて感じます。
最優先で心がけたいことは、助けを求めたいのに声を出せずに息を潜めてひきこもり続けている本人や、誰にも相談できずにしんどさを抱え込んでいる家族という、それぞれの当事者が生きていくうえで必要な利益のために動くことであり、家族会としてこれまでの労いのメッセージを発信していくことと安心して本音の言える受け皿を全国につくっていくことです。
そして、ひきこもっているかどうかに関わらず、誰にでも幸せを求めて生き続けていく権利が保障されているからこそ、自分の人生は、他人の指示や支配に干渉される必要はなく、誰もが自分の意思で選択して決断することができる、そんな社会をみんなと一緒につくっていきたいと考えています。

「家族会の社会的役割について」

KHJ全国ひきこもり家族会連合会顧問
NPO法人から・ころセンター代表
伊藤 正俊

KHJ家族会には家族が元気になり自助力を高めていくためのあり方と、ひきこもりの現象を社会に発信する啓蒙の両面があると思います。私たちが生活している今の社会は、自殺者が減少したとしても毎年2万人からの人々が自ら命を絶っていく社会。

それから学校社会は不登校やいじめがまた増えてきている現状の中で、私達、家族や当事者は、社会生活に生きづらさを抱えています。家族会は、地域社会と連携しながら、生きづらさをはらんだそのような社会をどう変えていったらいいのか、当事者団体だからこそわかるこの社会の矛盾や生きていく事の苦しさについて、声をあげていく社会的使命も負っているかと思います。

又、生活困窮者自立支援法が施行され、身近な地域における市町村単位での家族会発足も求められてくるかと思います。誰もが排除されない社会「ソーシャル・インクルージョン(社会的包摂)」、または「お互いを認め合い、支えあい、補い合う社会」を目指していくために、草の根的に家族が集い発信できるための場が増えていくことが期待されます。

「全国の家族の皆さまへ」

KHJ全国ひきこもり家族会連合会理事
ながおか心のクリニック院長
中垣内 正和(精神科医)

当会は1999年、埼玉岩槻にて故奥山雅久氏によって創設され、ひきこもりに取り組む唯一の全国的な組織として活動を重ねてまいりました。相談先すらなかった時期を経て、いまやひきこもりは、社会全体で取り組むべき課題として認識されています。

創意工夫を続ける当会は、ひきこもり当事者やその家族にはなくてはならない活動団体として幅広く認められています。 全国の悩めるご家族の皆さま、どうぞ問題を家の中におかないで、当会にご参集ください。次世代のために、ご自身のために、新しい社会のために出会いましょう。