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ひきこもりの居場所に関する実態調査報告書 (設置状況・家族調査・連携調査)


ひきこもりの居場所に関する実態調査報告書(設置状況・家族調査・連携調査)

報告書A4版 全162ページ
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事 業 概 略 書

(調査研究事業の場合)
ひきこもりの居場所に関する実態調査報告書
特定非営利活動法人 KHJ全国ひきこもり家族会連合会 (報告書A4版 162頁)

事 業 目 的

ひきこもり本人とその家族、ひきこもり支援機関を対象に、居場所の設置状況、運営の実態、効果について調査を行った。

事 業 概 要

1.居場所の設置状況調査
全国のひきこもり地域支援センターと自立相談支援窓口における居場所の設置状況を把握することを目的とし、令和1年11月~12月末までに、ひきこもり地域支援センター75カ所、並びに生活困窮者自立相談支援窓口1318カ所を対象に実施し、回答数929カ所(回収率66.7%)から回答が得られた。

2.居場所運営者調査
ひきこもりを対象とした居場所の運営の実態を把握することを目的とし、令和1年11月~12月末までに、ひきこもり地域支援センターに設置されている居場所45カ所、ウェブ調査等によって抽出された242カ所を対象に、居場所の運営者を対象に調査(以下、運営者調査)を行ったところ、111カ所の運営者から回答が得られた(回収率38.7%)。

3.居場所利用者調査
居場所を利用した効果等について明らかにすることを目的とし、令和1年11月~12月末までに、ひきこもり地域支援センターに設置されている居場所45カ所、ウェブ調査等によって抽出された242カ所を利用しているひきこもり経験者とその家族を対象に調査を行ったところ、207名のひきこもり経験者と51名の家族から回答が得られた。

4.KHJ全国ひきこもり家族会連合会支部調査
ひきこもり支援における居場所へのニーズを把握することを目的とし、特定非営利活動法人KHJ全国ひきこもり家族会連合会(以下、「家族会」とする)の支部が令和1年12月~令和2年1月に開催した月例会において調査を実施したところ、101名のひきこもり経験者とその家族369名の回答が得られた。

調査研究の過程

調査については、当初予定していた通りに実施した。

1.居場所の設置状況調査
【 調査内容 】
(1)ひきこもり支援対応の有無、(2)ひきこもり支援のための居場所設置状況
【 調査手続き 】
令和元年11月に郵送にて調査用紙を配布し、郵送にて回収した。また、メール、ファックスで回答の得られたものもあった。

2.居場所運営者調査
【 調査内容 】
(1)運営者の基礎情報、(2)団体施設状況、(3)居場所の参加人数、(4)居場所の財源、(5)居場所のスタッフ、(6)スタッフの資格、(7)事業内容、(8)居場所の参加要件、(9)居場所参加の年齢制限、(10)女性のひきこもりへの支援、(11)居場所のルール、(12)居場所において重要なこと、(13)突然参加しなくなった場合の対応、(14)居場所において有効な活動、(15)居場所運営上の課題
【 調査手続き 】調査用紙を郵送し、郵送にて回収した。

3.居場所利用者調査
【 調査内容 】
(1)ひきこもり本人との続柄、(2)現在のひきこもり状態の有無、(3)年齢、(4)性別、(5)現在住んでいる都道府県、(6)ひきこもりの期間、(7)居場所に参加した回数、(8)居場所の参加した理由、(9)居場所を利用しての満足度、(10)居場所を利用して満足した点、(11)居場所を選ぶにあたって大切にした点、(12)居場所において重要だと思うこと、(13)居場所において有効だと思う活動
【 調査手続き 】
調査用紙を郵送し、郵送にて回収した。居場所を利用した効果等について明らかにすることを目的とし、ひきこもり地域支援センターに設置されている居場所45カ所、ウェブ調査等によって抽出された242カ所を利用しているひきこもり経験者とその家族を対象に調査を行ったところ、207名のひきこもり経験者と51名の家族から回答が得られた。

4.KHJ全国ひきこもり家族会連合会支部調査
【 調査内容 】
(1)基礎情報 現在のひきこもり状態、過去のひきこもり経験、ひきこもりの初発年齢および期間、現在のひきこもりの程度、ひきこもり本人の1ヵ月の平均外出日数、ひきこもり本人との同別居について
(2)支援・医療機関について 支援・医療機関の利用経験の有無、支援・医療機関利用の中断
(3)基礎情報2 家族回答者が現在住んでいる都道府県、家族回答者の続柄、家族回答者の年齢、ひきこもり本人の性別、ひきこもり本人の年齢
(4)社会参加について 社会参加に関する困難感、昨年の世帯年収、家族回答者の教育課程
(5)KHJ家族会について 家族会への所属、家族会の所属支部(地方別)、家族会への参加状況、家族会への参加回数
(6)居場所について 居場所の運営に関する重要度、居場所の活動に関する有効度
(7)家族及びひきこもり本人の生活状況
【 調査手続き 】
調査の趣旨に関する文書を読んだ上で、調査協力に同意された方のみが調査用紙に回答をした。調査の趣旨に関する文書は、調査用紙から切り離して、持ち帰っていただくように依頼した。回答者には、月例会において調査用紙と返信用封筒を配布し、返信用封筒に入れて郵送にて回収をした。

事 業 結 果

1.ひきこもり本人の年齢の推移
家族調査の結果をみると,ご本人の平均年齢は本年度35.3歳となり,昨年度とほぼ同じ年齢であった。本年度はこれまでの調査で最高年齢という結果であったが,昨年度までの4年間は毎年1歳近く平均年齢が上昇していたことと比べると,上昇の程度は小さくなった。また,本人調査の結果の推移をみると,本年度は過去最高年齢を更新した昨年度よりも約1歳低いという結果であった。これは,どのような経緯かは不明なものの,本調査の対象者が昨年度までとは異なる可能性を示している。
全体的な傾向としては,ひきこもりの高年齢化の実態が示されており,いわゆる「8050問題」という言葉に代表されるように,若年層ばかりでなく高年齢のひきこもりのニーズにも合わせたサポートを充実させることが重要であると考えられる。
その一方,ひきこもりの開始(初発)の平均年齢については,これまでと同様に約20歳であった。ひきこもりの開始年齢の結果は,一貫して中学生から20代のひきこもり好発期における予防的対応の重要性を示唆しているものと考えられる。

2.ご家族の年齢の推移
ご家族の平均年齢は,昨年度は1歳以上の上昇が認められ,初めて65歳を超えたが,今年度はやや低減したものの引き続き65歳を超えたままという結果であった。本年度の結果からも,65歳をも超えるご家族が多く,それらのご家族の多くが定年を迎えている可能性がある。300~399万円がもっとも多いという世帯年収の結果も,その傾向を示しているといえる。さらには,家族会にも参加が困難になり介護が必要な家族が増加しつつあることが推測されるため,このようなケースに対して生活そのものを成り立たせるための福祉的対策が急務であろう。

3.ひきこもり期間の推移
家族調査におけるひきこもり期間は,昨年度よりも短く,2007年度調査とほぼ同様という結果であった。この結果は,家族会参加者に入れ替わりが生じている可能性を示している。その一方で,本人調査においては,昨年度よりもやや短いという結果であった。いずれも10年近くひきこもっている場合が多く,家族会参加者は,長期化したケースが中心であるといえる。

4.40歳を超える高年齢化事例の特徴
本調査では,ご本人の年齢が40歳以上の場合と40歳未満の場合を比較することで,どのような特徴が認められるかを検討した。本人調査では,40歳未満の事例が65名,40歳以上の事例が34名(32.3%)であった。また,家族調査では,40歳未満の事例が233名,40歳以上の事例が135名(36.7%)であった。
また, 40歳以上の割合は,家族調査において過去最高割合を示しており,3人に1人は40歳以上であった。本人調査においても,過去最高割合を示した一昨年度とほぼ同様の割合であり,いずれも40歳以上の割合は2003年の調査から大きく増加しているといえる。
50歳以上のケースは,2011年頃からみられるようになり,今年度調査においては,本人調査,家族調査ともに15~20人に1人程度は50歳以上であることがわかる。

5.ご本人の性別
40歳以上の場合と40歳未満の場合におけるご本人の性別について, 40歳未満の事例と40歳以上の事例の場合に,割合の統計的な違いはみられなかった。この傾向は,昨年度と同様であり,これらをふまえと,高年齢化する事例に性別の違いはないと考えられる。

6.ひきこもり期間
本人調査,家族調査のいずれも,40歳以上の事例の方がひきこもり期間が長いという結果であったが,この傾向は昨年度と同様であった。また,現在ひきこもっている40歳以上の事例の平均ひきこもり期間が家族調査では18年近くにおよび,本人調査では該当者が極めて少ないものの(3名),20年を超えることが示された。

7.ひきこもりの程度
家族調査において年齢差がみられた項目は,「自由に外出する」と「対人交流が必要な場所に行く」の2つであり,いずれも40歳以上の方が40歳未満よりも「自由に外出する」と「対人交流が必要な場所に行く」ことができているという結果であった。また,現在ひきこもっている人よりも過去ひきこもっていた人の方が「家庭内では自由に行動する」という項目が高く,「家庭内で避けている場所がある」と「自室に閉じこもる」という項目が低いという結果であった。
本人調査において年齢差がみられた項目は,「自室に閉じこもる」のみであり,40歳未満は40歳以上よりも自室に閉じこもっているという結果であった。これまで,ひきこもりの程度については,高年齢事例の方がひきこもりの程度が強いという結果はみられておらず,年齢以外の個人差が大きいといえる。

8.ご本人の支援・医療機関の利用の割合
昨年度の調査では,家族調査,本人調査ともに,40歳未満の場合と40歳以上の場合で違いはみられなかったが,今年度も同様に年齢差はみられなかった。
中断の経験についても,家族調査,本人調査ともに,40歳未満の場合と40歳以上の場合で違いはみられなかった。この結果は,昨年度と同様の結果であった。

9.ご本人の社会参加困難感
程度が高いほど社会参加に対する困難感が高いことをあらわしている。家族調査においては,40歳以上は40歳未満よりも社会参加困難感が低いことがわかった。その一方で,本人調査においては,統計的には年齢による違いはみられなかった。これらのことから,社会参加困難感に対しては高年齢であるかどうかよりも,それ以外の個人差の影響が大きい可能性がある。

10.居場所および価値に関する家族回答と本人回答の差異
(1)居場所の運営において大事だと思うこと
すべての項目において,ご本人よりもご家族の方が大事だと考えているという結果であった。ご家族は居場所の運営においてさまざまなことを強く大事だと考えているといえる。
(2)居場所の運営において有効だと思う活動
すべての項目において,ご本人よりもご家族の方が大事だと考えているという結果であった。ご家族は居場所の運営において様々な活動を有効だと考えているといえる。また,家族調査では,「農作業体験」が11の活動のうち6番目の高さであったが,本人調査ではもっとも低いという結果であった。したがって,ご家族は農作業体験を有効だと考えている一方で,ご本人はあまり有効だと考えていないというギャップがあるといえる。
(3)人生において大事だと思うこと(本人調査)、大事にしてほしいと思うこと(家族調査)
「他人に評価されること」,「信念を持ち、それを大切に貫くこと」,「経済的に成功すること」,「社会をよくすること」,「社会に対して影響力を持つこと」,「よい学校を卒業すること」,「安定した生活を維持すること」の各項目において,ご本人はご家族よりも大事であると考えていることが示された。
その一方で、「自分らしくあること」においては,ご家族はご本人よりも大事であると考えていることが示された。とくに,ご本人は「安定した生活を維持すること」が全項目のなかでもっとも高い値を示したが,ご家族のなかでは6番目の値であった。また,ご家族は「自分らしくあること」が全項目のなかでもっとも高い値を示したが,ご本人のなかでは7番目の値であった。人生において大事だと思うことについては,ご本人とご家族でギャップのある側面があるといえる。
以上

問合せ先
・ 特定非営利活動法人 KHJ全国ひきこもり家族会連合会
・ 〒170-0002 東京都豊島区巣鴨3-16-12-301
TEL:03-5944-5250

・ 宮崎大学教育学部 境 泉洋
〒889-2192 宮崎県宮崎市学園木花台西1-1
TEL:0985-58-7458

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