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KHJジャーナル「たびだち」105号(2023年初夏号)から、アスペルガー・アラウンド代表 SORAさんに聞く「カサンドラ症候群の苦しみの中で家族関係を続けるために」記事の一部をご紹介!


タイトル

自分の生き方を選択できる力を取り戻して

強いこだわりや、言語理解においての未発達など、その特性によりコミュニケーションに支障をきたしてしまいやすいアスペルガー症候群(ASD)。そんなASDのパートナーを持つがゆえに苦しんでいる人々、通称「カサンドラ症候群」をサポートしているのが、「アスペルガー・アラウンド」(非営利団体/東京都)だ。カサンドラ症候群とは、ASDを持つ者と情緒的な関係を築けないことで生じる精神的、身体的な不調のことを呼び、同団体代表のSORA(櫻田万里)さんも、過去にカサンドラに苦しんでいた1人だった。「ASDの夫により父子、夫婦の信頼関係が失われた時があった」と語るも、現在は自身を「幸せなカサンドラ」と呼ぶまでになったSORAさんに、「家族」関係をひも解くヒントについて聞いてみた。

取 材:鳥嶋えみり / 上田理香
執 筆:鳥嶋えみり
撮 影:名城文子


■SORA・櫻田万里(そら・さくらだまり)/アスペルガー・アラウンド代表。
2001年に長男、2003年に夫がアスペルガー症候群の診断を受ける。13年間の特別支援学校の勤務経験、自身のアダルトチルドレン克服の体験を活かし、2013年にカサンドラを支援する非営利団体を発足。小冊子『脱出カサンドラ』(入門編、中級編)が団体HPにて頒布中。

■とりしま・えみり/1990年生まれ。
中学在学中に不登校になり、その後転校。高校で演劇を始めたことで通学を再開するようになった。現在はフリーライターとして活動している。


パートナー関係と周囲の無理解という2つの孤独感

今年3月に内閣府が発表した調査結果により、ひきこもり状態の人の数は全国で約146万人に上ることがわかった。その理由として挙げられる1つが、新型コロナウイルスの流行だ。コロナ禍に入ったことでやむを得ず離職に追い込まれたり、閉塞感からくる精神的なダメージを受けたりして、そのままひきこもってしまうケースも多いという。そして、この感染症の流行で影響を受けたのは、ひきこもり関係者だけではない。「カサンドラ症候群」に悩む人々もまた、その煽りを受けていた。
「コロナ禍で始まったリモートワークなどでパートナーの在宅時間が増えたことにより、さらに追い詰められるカサンドラの方が増加したと思います」。
そう話すのは、カサンドラ症候群に悩む人々をサポートするためにつくられた「アスペルガー・アラウンド」代表のSORA(櫻田万里)さんだ。
そもそも、カサンドラ症候群とは何なのか。別名「カサンドラ情動剥奪障害」とも言われ、家族や友人、会社の同僚など、アスペルガー症候群(以下ASD)当事者と身近な関係にある者が、互いの気持ちを共感しあえる関係を築けないために生じる身体的、精神的症状を表す。現在はまだ正式な障害として確立しておらず、発達障害というものが徐々に世間に認知されつつある現在も、カサンドラ症候群で苦しむ人たちのことは知られていない。
SORAさんの夫がASDと診断を受けた2003年当時、社会では今ほど発達障害が周知されておらず、ましてや、その家族に対して目を向ける人は、ほとんどいなかった。
SORAさんによると、カサンドラが重篤化するのには、2つの孤独感があるという。それは、「パートナーとの情緒的関係を築けないという孤独感」と、「周囲から、その苦悩を理解してもらえないという孤独感」だ。
「とはいえ私には、他のカサンドラさんと違う点が1つあるんです。それは、………

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